飼育に使用する床材はゴキブリに合わせて選びます。湿度を保つもの、それ自体がエサになるものなど床材の特性も様々です。オリジナルの配合をして使用するのもいいでしょう。また、場合によっては床材を入れずに飼育できる種もいます。ここでは床材の種類と特性、ゴキブリ屋敷でどのように使用しているかをご紹介します。飼育の参考になりましたら幸いです。
腐葉土
文字通り落ち葉等が腐りできた土です。栄養分が豊富で通気性があります。床材になると同時に落ち葉を摂食するゴキブリのエサにもなります。単体でも使うことができますが、ほかの床材と混ぜることで非常に多くのゴキブリの床材として活躍します。
ピートモス
ミズゴケ、ヨシ、ヤナギなどの植物がもととなる泥炭を乾燥、粉砕したものです。優れた保水性を持つため、水切れに弱い種や湿度を維持する必要がある種にもってこいです。また、柔らかい土なので床材に潜る種にも適しています。強い酸性を示すため、ほかの床材と混ぜることで床材を酸性寄りにすることができます。床材のpHがゴキブリにとってどのような影響があるかはわかりませんが、ゴキブリという昆虫自体が土壌と密接にかかわりのある昆虫なので生息地の土壌分布に飼育環境を合わせることも繁殖成功・長期飼育のカギとなる可能性があると考え、セットする際の参考にしています。
バーミキュライト
蛭石という鉱石を高温で熱し膨張させたものです。多孔質で空隙率が90%以上のため保水力、通気性に優れており、フンなどの分解に有効な微生物が住処としても使用できます。また、非常に軽いのでセットを軽量にすることができます。当方では単体で使用することはありませんが、腐葉土やピートモスなどと混ぜて頻繁に使用します。
燻炭
もみ殻をいぶし、炭化させたものです。燻炭を床材に混ぜることで、ダニの減少、発生を抑制することができます。原理はよくわかりませんが、対照実験をしてみると確かに減少することが分かったため、当方では床材に少量混ぜるようにしています。加水すると強いアルカリ性になるため、床材の調整にも役立ちます。また、消臭効果もあるため、においの気になる種に入れてみるのもいいかもしれません。
未発酵マット
カブト・クワガタの飼育などで頻繁に使用されるマットです。朽木を粉砕したもので、ヨロイモグラゴキブリの床材やクチキゴキブリ、オオゴキブリを飼育する際に朽木を埋め込むマットとして使用しています。乾燥するのが早いため水切れには注意が必要です。逆に、乾燥させて使用すると扱いやすいため、当方ではクロゴキブリやワモンゴキブリの床材として使用しています。このような種は絶対に床材が必要というわけではありませんが、入れておくとフンや卵鞘が目立たず見た目よく飼育ができます。
赤玉土
保湿力に優れた土です。含んでいる水分の量が色の変化によってわかりやすいため、ぱっと見で状態確認ができます。ただ、バットローチやオガサワラゴキブリなどよくマットに潜り、落ち葉を食べるような種には適していません。粒の大きさによって小粒・中粒・大粒などに分けて販売されています。ゴキブリの飼育ではあまり単体での出番はありませんが、ほかの床材と混ぜることで保湿力、通気性が上がります。当方ではフタホシモリゴキブリやアマミモリゴキブリ、リュウキュウモリゴキブリに混合マットにさらにこの赤玉土を混ぜたマットを使用しています。
ミズゴケ
園芸用品として販売されています。優れた保水性があるので、水後れに弱い種や高湿度を好む種のケース内に設置して使用します。品質にはかなりの差があり、安いものを購入するとほとんどコマ切れで粗悪なので、購入する際は品質に気を付ける必要があります。
ゴキブリ屋敷式混合マット
腐葉土3:ピートモス3:バーミキュライト3:燻炭1の割合で混ぜたマットです。当方ではこのマットをルリゴキリやGyna、オガサワラゴキブリなど多くの種に使用しています。腐葉土は一部ゴキブリのエサにもなり、燻炭を少量入れているので気持ち程度ダニの発生が少なくなります。また、様々な床材を混ぜることで空隙が生まれ、ふんわりと詰めることでホラアナゴキブリなどの微小種の隠れ家にもなります。その際はさらにミズゴケを混ぜるとより空隙が生まれ、保湿力も上がります。